東京大学工学系研究科では，子ども達の自然への興味と関心を喚起することを目的として、2015年より小中学生対象のサマーキャンプ「自然に学ぶ夏の学校」を実施してきました。このサマーキャンプでは，「むし」「ほし」「いし」の3つをキーワードとして，昼間・夜間の昆虫採集，星空観察，岩石や鉱物標本の観察・実験，およびフィールドでの鉱物採集といった活動を行ってきました．

私たちが実施してきた「自然に学ぶ夏の学校」をはじめ，体験型の自然学習は，子ども達に「自然とのふれあいの中で感じる驚きや感動」を経験してもらう絶好の機会であり，自然への深い理解や知的好奇心をかき立てる場となります．さらに，子ども達自身が，自然という学びの場において新たな視点・考え方を見つけることで，自分が将来どのような生き方をしたいのかを考えるきっかけにもなると期待されます．

今回私たちは，「自然に学ぶ夏の学校」で実施してきたことを発展させ，開催規模の拡大，および情報通信技術（ICT）の活用を通じて，「誰もが」「どこにいても」自然体験ができる学習システムが構築できないかと考えました．そこで，ヒューリック株式会社とともに，東京大学工学系研究科に社会連携講座「真にインクルーシブな自然体験学習システムの創成」を設置し，上に述べた新たな自然体験学習システムの実現を目指す運びとなりました．